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社会の制約によって活かされていない「女性が本来持つ力」とは? ミラツクが取り組む「女性の力が生きる社会づくり」プロジェクト

プロジェクト

ミラツクでは、日々様々なテーマの調査プロジェクトを行っています。今回は、2014年から取り組んでいる「女性本来の力」をテーマとした調査プロジェクトについて、そのプロセスとプロジェクトを通じて見出した「7つの力」をご紹介します。

女性の力が生きる社会づくりとは?

女性が自らの持つ力を生かし、活躍する社会とはどのようなものでしょう?国連が主催のシンポジウムでは、大きな災害の後に“コミュニティ再生”や“起業”を通じた地域課題の解決に、女性の活躍が大きく寄与することや、また、平和構築の分野で女性の力が強く発揮されることがあげられています。

そこで、ミラツクは「災害後のような社会的制約が弱まった状況で活きてくる女性の力があるのであれば、現代社会の何らかの制約によって活かされずに眠っている女性本来の力があるのではないか」という仮説のもと、「活かされていない女性の本来力とはなにか?」を探るために、2014年から調査プロジェクトを始めました。

「女性本来の力」を見出すため、異なる立場の20名にインタビューを実施

2014年12月から2015年6月まで、「女性本来の力」がどのようなものかの考察に必要な情報を得るため、ミラツクのネットワークを活かして、自らの力で事業を立ち上げてきた女性起業家を中心に、大学教員などの専門家、行政などの支援機関の方、女性比率が高い企業でのマネジメントの方々など、20名程度のインタビューを実施し、結果を分析していきました。

特に力を入れてお話を伺ったのが、自らの力を活かしている女性の代表格である女性起業家の方々です。1~2時間程度のインタビューを通じて起業に至ったストーリーや、どのように事業を運営しているかを伺い、その中から女性ならではの特徴を探していきました。

その他にも、女性社員が多数を占める大手企業のダイバーシティ推進担当者やマネジメント担当者など、女性にとって厳しい職場で活躍する社員の方々から知見を伺い、大学教員、行政の方々には、見出した特徴の確認やさらなる意見をいただきいて情報を修正していきました。

「女性の本来の力を活かす企業のあり方」を考えるダイアログイベントを開催

そして2015年の7月から9月までのあいだに、「女性本来の力を活かす企業のあり方」をテーマにした全3回のシンポジウム型ダイアログイベントを開催。「富士通デザイン株式会社」「森ビル株式会社」との共催で行い、「株式会社和える」代表取締役の矢島里佳さん、「米国NPO法人Acumen」イノベーションマネージャーの松川倫子さん、「ベルメゾン生活スタイル研究所」の和田康彦さんにお越しいただきました。

イベントの前半では、ゲストの方々に女性の力を活かした事業内容、女性の働き方や意識の変遷などについてお話しいただき、イベントの後半では、参加者から「女性の力を活かす企業のあり方」に関する複数のトピックを挙げてもらい、トピックグループに分かれた参加者同士でのアイデアディスカッションを行いました。働く女性の健康、家庭と仕事の両立、女性が企業で働き続けるモチベーションなど、さまざまなテーマが挙げられました。

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リサーチ結果から導き出された7つの「女性本来の力」

ミラツクでは、得られた情報を集約し、質的アプローチによる分析を行います。インタビューで得られたお話とダイアログイベントでの意見をもとにした分析によって、7つの「女性本来の力」の仮説が生まれました。

1. とりあえずやってみる力
2. みんなでやる力
3. 協力を得る力
4. 足下を大切にする力
5. 人を育てる力
6. 場をやわらかくする力
7. 感覚を大切にする力

そのほか、女性は「仕組み化」が得意ではないこと、子育ての時間がキャリアにとってマイナスになるわけではなく、「育児によって得られる力」もあるのではないかという仮説も生まれています。

社会課題の解決アイデアを生み出す「ソーシャルデザインラボ」を開催

ダイアログイベントに続き、2015年8月には「女性本来の力を活かす企業のあり方」をテーマに、連続する3回のワークショップ「ソーシャ ルデザインラボ」を開催しました。

参加者にミラツクのリサーチ結果を共有後、参加者のみなさんにも自ら、複数の働く女性にインタビューを行ってもらい、現場で得られた情報をもとに、働く女性が抱えている課題や、女性が持っている力・特徴 について考え、「働く女性の課題」を解決するためのアイデアをつくりあげていきました。

ラボでの取り組みからは、たとえば、ランチ時間に部署を横断して集まり、短い時間で新事業のアイデアを共有して共感した人たちとプロジェクトチームをつくる「夢みるランチ」や、育児中のお母さんが満員電車に乗らずに済むよう「時差通勤」や「子連れ専用車両」などのアイデアが生まれました。

また、得られたアイデアを発信するために、「Google株式会社」とパートナーシップを結び、六本木にある「Google日本本社」でシンポジウムを開催。「Google」が運営している、働く女性をハッピーにするためのアイデア募集プロジェクト「women will」に掲載されています。

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女性の力が活きる社会づくりに向けた新しい視点と取り組み

1年間の取り組みから、女性の力が活きる社会づくりのための新しい視点と現状の課題が見えるようになり、「女性本来の7つの力」の仮説から、「そもそも何を基盤に女性の力が活きる社会づくりを考えていけばいいのか?」について新しい考えを得ることができました。

女性の活躍を目指す際に、男性と同じ力の発揮の仕方ではなく、全く異なった「本来持つ力」だからこその強みを活かすことで、クオリティの高い力を楽に発揮できる可能性があります。

また同時に、職場において女性が力を発揮しにくい課題もさまざま見出されました。それは、「子育てと仕事の両立」「制度が本当に活用できるための工夫」「職場での成長機会の不足」「会社の内外における人とのつながりの希薄さ」など、多くの職場に共通する課題です。

次のステップは「女性本来の力の引き出し方」の検証と
診断ツールを用いた新たな取り組みの創出

「女性本来の力」を認識した上で、それが最大限に活かされる職場環境がつくられることは、女性にとっても企業にとっても共に価値あることだと考えます。

また、ミラツクは「株式会社cotree」と協働し、「女性が本来持つ7つの力」を個人単位・職場単位で診断するオンラインツールを開発。数値化されたデータを用いることで、より精査された取り組みを構築していける環境づくりに取り組んでいます。

「女性が本来持つ7つの力」オンライン診断
https://cotree.jp/assessments/workstyle_woman

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現在、プロジェクトはさらにフェーズを進め、富士通株式会社との共同研究調査プロジェクト(女性が求めるライフスタイルを実現するワークスタイルの開発)、大手製造メーカーとの共同研究調査プロジェクトを行っています。また、「女性が本来持つ7つの力」の職場診断版を開発し、職場の状況を見える化できるようしました。共同調査研究や、職場診断などにご関心のある方は問い合わせよりご連絡ください。

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「当たり前」ではない、女性が持つ7つの力をどう活かすか|NPO法人ミラツク代表 西村勇哉
https://cotree.jp/columns/810

工藤瑞穂 ミラツク主任研究員
NPO法人soar 代表
1984年青森県生まれ。宮城教育大学卒、青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラム修了。日本赤十字社宮城県支部で勤務中、東日本大震災を経験。その後、多くの人が社会課題に目を向け、よりよい社会をつくるため行動していくことを促す任意団体「HaTiDORi」を設立。音楽・ダンス・アートと社会課題についての対話の場を融合したチャリティーイベントや、お寺、神社、幼稚園など街にある資源を生かしたフェスティバルを多数開催。 2014年よりミラツクに研究員として参画。セクターを超えたソーシャルイノベーションのネットワーク形成、社会課題を基盤とした共創的なプラットフォーム構築プロジェクトの運営などに携わる。
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