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経済の本来の意味は、お互いに助け合って世の中を治めていくこと。強者中心の社会から弱者が弱者でなくなる自由中心の新しい社会へ【ミラツク年次フォーラム2020】

フォーラム

毎年12月23日に開催している「ミラツク年次フォーラム」。一般公開はせず、1年間ミラツクとご縁のあった方々に、感謝を込めてお集まりいただくフォーラムです。2020年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、完全オンラインでの開催となりました。また、例年は完全招待制ですが、ミラツクが運営するメンバーシップ「ROOM」メンバーであれば誰でも参加OKという新しいスタイルでの開催としました。フォーラムシリーズでは、ミラツク年次フォーラムでの各セッションの様子をお届けします。

今回ご紹介するのは、セッション2-A。テーマは「いのちめぐる経済の可能性」です。まさに「いのちめぐる経済の可能性」をテーマに研究されている堂目さん、サンゴという生き物の研究を通じ、社会の構造をも捉える渡邊さん、いのちとのつながりを暮らしの中に織り交ぜていっている土谷さん、そして、学びの中にいのちを吹き込んでいる福本さん。さまざまな形でいのちや経済に接点をもつ4名によるディスカッションは、新しい経済のあり方や社会のあり方について、これまでとはまったく違う視座を与えてくれました。

堂目卓生(どうめ・たくお)
大阪大学総長補佐/社会ソリューションイニシアティブ長/経済学研究科教授
1959年岐阜県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。立命館大学経済学部助教授、大阪大学経済学部助教授を経て、2001年に大阪大学教授。専門は経済学史、経済思想。未来社会を構想するシンクタンクとして、2018年に「社会ソリューションイニシアティブ」(SSI)を立ち上げる。著書『Political Economy of Public Finance in Britain 1767-1873 (Routledge 2004)』で日経・経済図書文化賞、『アダム・スミス−「道徳感情論」 と「国富論」の世界』(中央公論新社/2008年)でサントリー学芸賞を受賞。2019年、紫綬褒章。
土谷貞雄さん(つちや・さだお)
株式会社貞雄 代表/コンサルタント/建築家/住まい・暮らしに関する研究者/コラムニスト
1989年、日本大学大学院理工学研究科建築史専攻修士課程修了。ローマ大学への留学や住宅不動産系のコンサルティングを経て、2004年に「株式会社良品計画」のグループ会社に入社し、「無印良品の家」(現・株式会社MUJI HOUSE)の開発に従事。2008年に独立し、住宅系の商品開発やWEBコミュニケーションの支援を行う。無印良品のコミュニケーションサイト「くらしの良品研究所」や家のサイト「みんなで考える住まいのかたち」の企画・運営をはじめ、現代の暮らしについてアンケート調査やフィールドワーク、執筆活動などを行い、未来の暮らしのあり方を提案。また、住まいに関する研究会「HOUSE VISION」を企画・運営し、アジア8カ国で展覧会や調査を行ってきた。ベースを深圳に移し、中国での暮らし調査を本格的に始めていたが、コロナ禍により日本に帰国。現在は北海道のニセコを拠点に活動している。
渡邊剛(わたなべ・つよし)
北海道大学大学院理学研究院地球惑星科学地球惑星システム科学科 講師/NPO法人喜界島サンゴ礁科学研究所理事長
横浜市生まれ。1994年、北海道大学理学部地質学鉱物学科卒業。同大学大学院地球環境科学院修士・博士課程終了後、サンゴ礁に記録される地球環境変動をテーマに、オーストラリア国立大学、フランス国立気候環境研究所、ドイツ・アーヘン工科大学地質研究所、ハワイ大学などで研究に従事。2014年より鹿児島県喜界島にNPO法人喜界島サンゴ礁科学研究所を立ち上げ、理事長に就任。
福本理恵(ふくもと・りえ)
株式会社SPACE 創業者 代表取締役 最高情熱責任者 (CEO)
1981年、兵庫県姫路市生まれ。熱血教師の母の姿を見て、人の人生に影響を与える先生という職業に憧れて育つ。2006年、東京大学先端科学技術研究センターの交流研究員を経て、東京大学大学院博士課程に進学。自身の体調を崩したことをきっかけに日々の食の重要性を再確認し、2012年から「種から育てる子ども料理教室」を主宰する。2013年、東京大学先端科学技術研究センターに戻り、農と食から教科を学ぶ「Life Seed Labo」を立ち上げ。2014年12月、「異才発掘プロジェクトROCKET」を立ち上げてプロジェクトリーダーを務める。2020年8月にSPACEを創業。

100年先の経済や社会をどう考えるのか?

土谷貞雄さん

西村このセッションのテーマは「いのちめぐる経済の可能性」です。堂目先生が「いのちめぐる経済の可能性」というテーマで研究されているので、それを深めていけたらと思って考えました。でも深め方を考えたときに、経済のことばかり言うのは違うと思うし、いのちのことばかり言うのも違うと思って。だから、このテーマにいろいろな角度で接点を持っている人が集まったら、その接点の持ち方の違いが際立って、面白いんじゃないかなと思いました。なので、最初にそれぞれ、どんな取り組みをされているのかを紹介してもらってから始めようと思います。

土谷さんよろしくお願いします。僕は今年60歳で、最近は中国の深圳をベースに活動していたんですが、コロナで日本に帰ってきたら戻れなくなってしまいました。そこからいろいろな経緯があってニセコに行き着き、今はニセコのまちづくりに関わっています。

以前は、無印良品で住宅をつくっていました。そして、家をつくって売ることの前にそもそも「家っていったいなんだろう」ということを考えるようになり「暮らし研究」を始めました。

2011年には、暮らし研究を実現していくために、企業と建築家で未来の家を探求するプロジェクト「HOUSE VISION」を原研哉さんと一緒に立ち上げました。ここでは、「家」を未来の多様な産業の交差点と考え、テクノロジーと知恵、そしてクリエイターと企業のアクティビティを掛け合わせて、実践的な視点から未来を可視化するということをやり始めました。

これがインパクトがあったのか、中国をはじめインドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム、韓国、台湾という、世界8ヵ国で展開するようになりました。毎週のように世界のどこかでイベントや展覧会をつくっていましたね。今は、もう少しテクノロジーの未来が見えてきたので、未来の暮らし図を違う角度で考えたいなと思い、一旦この活動をやめ、もう一度暮らし研究のベースに戻って、中国全土の暮らしを調査しているところです。

ニセコは、SDGs未来都市宣言をした人口5,000人のまちです。その中に500人の都市街区、つまり、まちの10分の1の人口が住む街区をつくるプロジェクトがあります。僕は、このプロジェクトに建築のプロデューサーとして入っていて、それをきっかけにニセコに通うようになり、結局住んでしまいました。

上はコンパクトなまちが多数生まれ、アイランド化していった場合、下はインフラに沿って薄く広がっていった場合の都市の未来予想図。自律分散型のマイクログリッドが実現すれば、都市はアイランド化していくはずだが、どちらになっていくのかは、今はまだわからない

そのほかに世界中の人を集めて、縮小都市、または縮退する都市の未来を考えるという「都市未来研究会」を、ニセコでやろうと準備しています。ひとつのポイントは、時間軸を長く考えるということです。100年先の経済や社会をどう考えるのか。人口減少社会にどのような都市を再編していくのか。そしてどんな経済を、どんな人たちと、どんなスケールでつくっていくのかを考えていきたいと思っています。

たとえば日本の人口は、2100年には現在の65%ぐらいになっていると言われていますが、過疎地はもっと減少するので、50%ぐらいになると思われます。そして、あと30年ぐらいで都市インフラを整備するお金はなくなるんですね。

僕はそこで、安易にコンパクト化するのではなく、逆にアイランドのようにそれぞれの都市が(都市インフラから)独立していくことがあるんじゃないかなと思っています。自律分散型のマイクログリッドが実現すれば、都市同士の距離が多少離れても良くなる。もともと、エネルギー網の関係でつながっていなければいけないということ自体がおかしいわけで、我々はそこから解放される時代が来ているのかもしれないと思っている次第です。

サンゴからは多様性と敏感性の両方を学ぶことができる

渡邊剛さん

渡邊さんはじめまして。僕は北海道大学の理学部に在籍していて、サンゴ礁や地球環境、自然環境の研究をしています。もともとは地質学の出身で、その中でもホモサピエンスが登場する数十万年前ぐらいの比較的新しい地質の研究をやっていました。そこからサンゴ礁というフィールドに移ったんですけど、サンゴ礁の研究にはありとあらゆる学問の方が集まっていて、地質学の枠だけでは全然収まりませんでしたね。

サンゴっていうのは動物の名称で、サンゴ礁は地形のことです。サンゴは、1匹の幼生から始まって数百年、数千年生きて、ついにはサンゴ礁の島をつくってしまいます。そこに人間も含め、いろいろな生物が絡み合うように生きていて、多様性を生み出しています。あるいはサンゴは、敏感な生き物でもあります。地球温暖化が進んで二酸化炭素が増えるとすぐ白化(はっか)現象が起きて、一緒に生活しているパートナーの植物プランクトンが出ていっちゃうんです。それが長く続くと死んでしまう。つまり、環境問題にも絡んでいるんですね。サンゴ礁からは、そういった多様性と敏感性の両方を学ぶことができます。

その中で矛盾に思っていたのが、サンゴ礁は熱帯や亜熱帯にあるのに、研究ができている国は、オーストラリアやフランス、ドイツ、イギリスなどの先進国ばかりだということでした。それで6年前に、サンゴの研究所を喜界島に設置させてもらい、現在に至ります。

偶然にも、渡邊さんも土谷さんも100年後をターゲットにしていた

土谷さんも同じようなことをおっしゃっていたんですが、僕もその研究所を100年後に残すという理念でやっています。なぜ100年後かというと、100年後は地質学的にギリギリ実感をもてるところだからです。同時に、僕たちは絶対に生きていない。だから、いろいろな人が利害を超えて話すときに共通のターゲットになりうるんじゃないかと思いました。

長い歴史の中には、いろいろな環境があったし、いろいろな時代があった。その中でなくなってきた価値観、あるいは残ってきた価値観があります。最近では、地球温暖化や海洋汚染など、人間が自然に影響を与えてしまっていることもあります。そういうことを考えた時に、共通する話題としてサンゴは非常にいいなと思っています。

すべての日本の子どもたちが好きなことから学び、それが仕事になる教育

福本理恵さん

福本さんみなさんこんにちは。福本理恵と申します。私は今、東大先端研究所の協力研究員をしていて、2020年8月には「株式会社SPACE」を立ち上げました。SPACEは「好奇心と情熱によって作動するパーソナライゼーションされた学びを目指す」会社です。子どもたちの特性や興味・関心をきちんと把握し、その個人にカスタマイズされた教育、学びの場をつくっていきたいなと思い、立ち上げるに至りました。

私はもともと教育学部を出ていて、そのあとに、教室に入れない子どもや問題を抱えた子どもたちの心理ケアができる先生を育てたいと思い、心理学部に入り直しました。すると、人が成長していく過程でどのような発達があるのかということがわかり、人間界と動物界を比較してみた時に、人間の発達はちょっと特殊だということが見えてきました。そこで、人をいろいろな形でとらえていくことを、ちゃんと教育の中に入れられるといいなと思うようになりました。

一方で研究中に、実験に参加してくれたお子さんにいいフィードバックを返せなかったなという思いがあり、私自身も楽しく、参加してくれた人もハッピーになれる方法ってなんだろうって模索しているときに「食べるってすごくヘルシーでハッピーなやり方だな」と気がつきまして、そこから食の道に進み「種から育てる子ども料理教室」を10年ぐらい前にやっていました。これは、ひとつの種から野菜を育て、育てたあとの流通も含めて、自分たちの口に入るまでのすべてのプロセスをまるっと学ぶ教室です。

その後、7年ほど前に東大先端研に戻って取り組んだのが「キッザニア」と一緒に立ち上げた「ライフシードラボ」というプロジェクトです。これは学校で学んでいる国語・算数・理科・社会といった教科が、将来どういう場面で使われるのかがわからないまま勉強を進めていて、いつのまにか勉強嫌いになってしまっているという課題を解消するプロジェクトでした。教室をガーデンとキッチンに変えてしまい、楽しく農業に勤しみ、楽しく料理をする。その中には国語の意味や理科の意味が盛り込まれていて、子どもたちが生きた知識を自然と得ていくことができるというものでした。

さらに、これがもとになって始めたのが「異才発掘プロジェクトROCKET」です。ユニークな子どもたちは、今の日本の学校教育の中では居場所を失っています。そこで、なんとかして社会との接続点をつくれないかと、2014年から日本財団と東大先端研で始めました。

ROCKETに来る子どもたちは、とにかくユニークなんですね。色彩感覚が豊かで、昔の製法を使いながら自分で鯉のぼりのブランドを立ち上げた子がいます。字は書けないけど細密画は描ける不思議な子がいたり、爆破映像ばかりつくっている間にスキルが上がって、GUのプロモーションムービーをつくることになった子がいたり。葛飾北斎に魅せられて、北斎の絵をずっと見ていたら彫りがやりたくなって、彫り師に弟子入りした子もいました。
ROCKETの参加者が始めた鯉のぼりブランド「泳泳」(@kanei yamaoka)

それを6年やったところでコロナがきたんですね。そのときに、すべての日本の子どもたちが好きなことから学んでいって、それが仕事になることをベースにして、日本の教育を変えたいという思いが強くなり、SPACEを立ち上げることになりました。SPACEでもROCKETでやってきたようなプログラムを同じようにやっているんですけど、ROCKETは、かなり尖った内容だったんですね。たとえば、行き先不明のまま「原料と製品とエネルギーを考える旅に行きますか?」って聞いて「行きたい」と言った子が、成田空港でムンバイ行きのチケットをもらって、そのままインドに連れて行かれるというようなこともやっていたんです(笑)。

SPACEではそれをもう少しマイルドにして、オンライン×オフライン版のプログラムも提供しながら、どういう特性や興味をもっている子どもたちが、どんなプログラムに入ると学びがより拡張していくのかを、実験的にやっています。

サンゴ礁の存在によって、生物多様性が増していった

西村ありがとうございます。堂目先生が遅れているので、ひとまずこのメンバーで進めていこうと思います。

このセッションのテーマは「いのちめぐる経済の可能性」です。いのちめぐるというと循環というイメージはもちろんあるんですけど、実際にどういうことなのかを、サンゴの話から始められたらと思います。

というのも、サンゴ礁はじつは海洋の生態系の約25%を占めているんです。しかも東京の人口密度より4倍ぐらいの密度があって、すごく少ない面積で生態系を担っている。なので、いのちめぐる状況というのを、サンゴから考えられたらいいんじゃないかなと。ということで、まずは渡邊先生にサンゴのすごさを語ってもらっていいですか。

渡邊さんえ、いいんですか?

西村これ、長くなるのは知っているので、適宜止めます(笑)。

渡邊さんお願いします(笑)。サンゴは5億年前からいたと言われていますが、重要なのは沿岸域に生息しているっていうことなんですね。沿岸域は、じつはものすごく競争が激しいところなんです。だけど、サンゴみたいな一見弱いやつが生息している。

はじめは、1匹のサンゴが1年に1回産卵して、そのときだけ泳ぐんですね。でもあるときお尻を岩盤にひっつけて骨をつくり出す。その間に生涯のパートナーとなる共生藻類、これは50マイクロメートルぐらいの小さな植物プランクトンのことなんですけど、それと共生するようになります。

サンゴが生きている熱帯・亜熱帯は、海洋学的には海の砂漠と言われています。日射量が強すぎて、海洋生物にとって必須の栄養塩があっという間に使われてしまう。だから本来は、あまり栄養がない海なんです。だけどサンゴは、進化の過程で共生藻類とのパートナーシップを確立することによって、太陽の光で光合成ができるようになります。そうすると、サンゴ自身は動物なんですけれども、その光合成の産物で生きることができるし、石灰化といって骨をつくり出すことができるようになります。だから海の砂漠、しかも沿岸域に固着することができたんですね。さらにその骨が、生物多様性のもとになっているんです。これがすばらしいんですね。

渡邊さんサンゴ礁ができたあと、海洋生物の中でもどんどん多様性が増してきて、なかには陸上へ上がろうとするチャレンジャーが出てきました。すると、沿岸域には生物多様性を支えるサンゴがいて、サンゴ礁という地形をつくっていたわけです。

サンゴ礁っていうのは、地形そのものが天然の防波堤なんですよね。そうすると、天然の防波堤から陸上までの間は「ラグーン」と呼ばれる、泳ぎが下手な人でも泳げるぐらい穏やかな場所になります。そういう場所をサンゴがつくってくれていたことで、海洋生物が陸上に上がりやすくなり、さらに生物の多様性が増していったんです。

でもこのまま、地球温暖化やそれに伴う海水面の上昇が進んでいくと、今度はサンゴと共生藻類の良好なパートナーシップが、逆に作用してしまうことになります。たとえば、パートナーの共生藻類は生きるのに光が必要なんですけど、海が汚れると光が届かなくなって生きられなくなってしまいます。するとサンゴも1週間ぐらいしか生きられません。

あるいは、地球が温暖化し過ぎて水温が30度を超えるようになると、共生藻類が光合成する時によくない物質を出すようになって、結果的に藻類を放出しなきゃいけなくなります。すると、地肌の白い骨が見える現象が起こるんですけど、すでに熱帯域ではその現象が報告されるようになってきています。いろいろな時代のサンゴやサンゴ礁を研究していますが、今は敏感な時期にきているのかなと感じています。

サンゴっぽいまちづくり=自律分散型のまちづくり

西村サンゴ礁って、ある意味でまちのつくり方みたいだなと思っていて。もともと動物なのに、植物っぽくて動かなくて、骨をどんどん形成していくと、そこがほかの動植物の住処になる。さらにサンゴって、自分自身が食べられたりもするんですよね。

渡邊さんかつ、枝状サンゴとかテーブル状サンゴとか塊状サンゴとか、分裂しながらどんどん形を変えていくんですね。できるだけ空間を埋めようとした結果、いろいろな形の家ができていって、いろいろな住人が住んでいる。

土谷さんパートナーがいるっていう話はすごく面白いなと思って聞いていました。サンゴは自分ひとりでは生きられないっていうことだよね。そこですごいのは、自分自身をちょっと食べさせたりしているところだよね。すごいよね。関係の深め方が。

渡邊さんそうなんです。熱帯雨林も生物多様性は高いんですけど、海は3Dで、縦横無尽に棲み分けができます。だから深いところに行くと、光をたくさん取り込もうと思ってテーブル上に形を変えますし、波当たりが強いところでは、枝状になってわざと壊れるような形になります。そうすると、波が強かったり台風が来たりすると簡単に壊れてよそに運ばれていって、そこでまた発達していくんですね。そういうサンゴの戦略から考えてもすごく面白いし、その戦略によって住人もどんどん広がっていく。その中から環境が変わっても生き残るやつがいるだろうっていうことですよね。

西村土谷さんの、コンパクトにするよりも自律分散型のまちづくりっていう話が最初にあったんですけど、それがまさに、深いところではテーブル型とか、波が強いところでは折れやすい枝サンゴみたいに、違うタイプのまとまりができていくっていうことなのかなと思いました。サンゴっぽいまちづくりってそういうことなのかなと。

「積極的に成長しない意味」を考える

土谷さんサンゴっぽいまちを考えるのは面白いね。関係性が変わっていくっていうことだよね。100年先のまちがどうなっているかなんてわからない。でも、わからないことに向かって変化し続けることが僕らの仕事であって、大切なのは「ゴールはこうです」って決めることじゃないんだよね。

行きたい未来はあるのかもしれない。でも常に状況は変わるから、その状況に対して、僕らがどんなふうに進化していけるのかを考える。僕はそれを「解像度」って言ってるんだけど、やっぱり解像度を上げ続けることが、人間にとってすごく重要なんじゃないかなと思います。そして、人から得られる解像度の上げ方と、自然を見ることによって得られる解像度の上げ方があるっていうことは、ニセコで暮らすようになってより感じていますね。

ニセコの街並みは今後どのように変わっていくのか

西村土谷さんがニセコで暮らすようになって「今までと違うまちづくりをしてみよう」と思ったことはありますか?

土谷さん「積極的に成長しない意味」をじっくり考えるようになりましたね。僕はこれまで5,000人っていう小さいスケールのまちづくりに関わったことがなかったんだよね。いつも少なくとも50万人ぐらいはいた(笑)。だから500人街区をつくるっていったら、これまでなら数ヵ月でつくってしまうぐらいの感覚だったんです。でもニセコはこれを10年がかりでやろうとしています。そういう意味で、さっき言った100年先っていうのがあながち手の届かない範囲じゃないなって思えるようになりましたね。

100年後を考えると、たとえば経済で考えたら「このビジネスで成功する」みたいなことってないんですよね。「今はビジネスとして成り立たないかもしれないけど、100年後を考えたら大事だよね」っていうことがあって、それをみんながやっていこうとすると、副業をもったり、いろいろなことをして生きていく必要が出てきたりします。しかもそれは自分には返ってこない。孫に返ってくるぐらいの感じですよね。だから、インディアンの思想にあるような7世代先とまではいかなくても、3世代先ぐらいのことを考えるっていうのは、ちょっとリアリティが出てきたように思います。

それぞれが強みを持ち寄って初めて成り立つ経済のつくり方もある

福本さん教育ともいろいろな接点があるなと思いながらお話を伺っていました。ひとつは、普段から多様な子どもたちに触れていて、枠がない中で学びの場をつくると、それこそサンゴ礁が環境に適応して、自分が持っていた力を拡張していくのと同じような進化の形を、子どもたちも遂げていくんですね。

ものすごいスピードでいろいろな領域を徘徊しながら、新しくインスパイアされたものをものづくりにあてていける子もいれば、小さな世界を縦に深めていくことでその領域のことを網羅して、さらに違う領域のことを考えられるようになる子もいます。それぞれの思考の形も違うので、同じ光を受けても「眩しい」って感じる子もいれば「全然光が足りない」って感じる子もいます。自分の中でヒットしたものを、自分で手繰り寄せていくようになるんです。

そんな学びのつくり方がROCKETやSPACEでは起こっていて、それはまさに、自然界の生態系と酷似していると思いながら聞いていました。そしてある意味で、環境を整えすぎるとその方向にしか行かなくなるということでもあるんだなと思いました。

西村サンゴは物質としての多様性を持っていると思うんですけど、今の話は人間の脳の多様性なんだなと思いました。「人間だから全部一緒」みたいに思っちゃいがちだけど、人間は、脳と文化の多様性を持っていて、人間ってそもそも多様なんですよね。

福本さんそうですね。本当にこれからは、個別最適化が進んでいくと思っています。そうしたら、自分の出せる強みを持ち寄ったときに初めて成り立つ経済のつくり方もある。それを考えると自分の個性を活かし、自分に足りないところを持っている人を見つけてタッグを組むという協働の仕方が、これからはますます増えるんじゃないかなと思います。

人間を「強者」と「弱者」に分けて考える経済学から、「弱者でいい」経済学へ

堂目卓生さん

西村“ひとり”の中にはすごい才能がある。その才能をどうやったら社会が生かしていけるのか。生かすっていうのは「殺さない」という意味です。どうやったら殺さずに生かしていけるのかを、社会や経済と一緒に考えられると、このセッションのテーマにつながっていくのかなと思いました。そしてこのタイミングで、堂目先生が来てくれました。簡単に自己紹介をしていただいて、ディスカッションを続けられればと思います。

堂目さん遅れてすみませんでした。大阪大学の堂目と申します。私は、18世紀の産業革命が起こった頃に経済学がどう形成されたかと、そのときに人間やいのちの問題がどう扱われたか、それが、19世紀や20世紀になってどう変わっていったのかという歴史を30年間研究してきました。この研究成果をもとにして、2018年に新たなシンクタンク「社会ソリューションイニシアティブ(SSI)」を立ち上げ、西村さんにも参加していただいております。

西村今まさに、多様性を殺さない社会や経済の有り様ってどういうものなんだろうかという話にディスカッションが入りかけたところです。実際に、多様性を殺さない経済って可能なんでしょうか?

堂目さん経済学には、本当にさまざまな学説があります。いわゆるリバタリアン的なものから、すべてを国有化して平等に分けるべきという社会主義まで。要するに経済は、財とサービスをどう分けるかについての考え方の違いなんです。その一部が実体化しているということなんですけど、じつは、どの考え方にも共通していることがあります。

それは人間をどう見ているかということです。やっぱりどの考え方も、強い人や優れた人と、そうでない弱者というふうに分けている。強い人や優れた人というのは、生産性という観点から「財とサービスをちゃんとつくれる人」のことです。

財とサービスは人間のいのちをつなぐための手段です。それがないといのちが途切れてしまいますから、もちろん非常に大切で、社会はそのためにつくられたのだと経済学者は考えます。社会の真ん中に強い人や優れた人を置いて財やサービスを生産し、イノベーションも起こすという見方です。

他方、財やサービスに貢献できない人を社会的弱者と位置づけます。これは子どもであったり高齢者であったり、病弱だったり障がいを持っていたり。あるいは、なんらかの社会的理由によって生産に参加させてもらえない人や学校に行かせてもらえない人々が「弱者」とみなされます。「弱者」は生産に関与できませんから、消費するだけです。

「弱者」にどれくらい寛容に分けてあげるかという問いに、分けてあげる必要はほとんどないというのがリバタリアン、自由至上主義です。生産への貢献に関係なく、全部を平等に分けるべきだというのが社会主義で、ほかはその間に位置づけられます。

でも、そもそも「強い人・優れた人」が真ん中という見方でいいのか。生産に関与できない人を「弱者」と言ったり、高齢化して生産に関与できなくなったら「もうダメだ」ということでいいのか。こういうことを考えると、私は逆転の発想をしないといけないじゃないかと思っています。むしろ「弱者でいいんだ」と。

人間は赤ん坊という「弱者」として生まれ、成長し、歳をとって、最後はまた「弱者」として終わっていきます。それがまさしくいのちであって、いのちを中心におけば、たまたま体が健康で能力がある状態の人は、「弱者」に向き合い、助け合う中で、「こうなったら嫌だ」という恐れや焦りから自らを自由にしていくのが、新しい社会のあり方なんじゃないかなと思っています。

今はいのちを中心とした新しい経済の状態に変わりつつある

堂目さん「ニューノーマル」と言われている現在のコロナ禍の状況は、まさしく助けられる人が中心で、助ける人が周りにいる状況です。しかも、それが常に入れ替わっていく。助ける側だと思っていたら、ある日突然、助けてもらわないと生きていけなくなるっていうことが今起こっていることです。これはコロナ禍が過ぎても、災害などもあり、継続していくだろうと思っています。それをマイナスに捉える向きもありますが、視点を変えてみると、真ん中に「強い人・優れた人」がいる近代社会から、かつて「弱者」と呼ばれた人たちがそうはみなされなくなる社会に転換する端境期にいるのではないかというふうに捉えています。「誰ひとり取り残さない」ことを謳っているSDGsなどもその兆候ですよね。

経済っていうのは、経世済民(けいせいさいみん ※「経済」という言葉の語源。世の中をよく治め、人々を苦しみから救うこと。また、そうした政治のこと)という意味ですから、本来はお互いに助け合うことだったんですね。だから、財とサービスをどれだけ効率的に生産し、どういう分け方をしたらいいのかというこれまでの固定化された考え方から、仲間と助け合って世の中をみんなで治めていくにはどうしたらいいのかという、いのちを中心とした新しい経済の状態に変わりつつあるんじゃないかと思っています。

西村僕は、それが極めてサンゴっぽいと思ったわけです。

渡邊さん今の堂目先生のお話は、僕もすごくサンゴっぽいなと思って聞いてました。まぁ僕はなんでもすぐサンゴっぽいって思っちゃうんですけど(笑)。

サンゴって、すごく種類が多いんですね。コーラルトライアングルっていうインドネシアを含む海域には今、600種類ぐらいはいるといわれていますが、種が多いことがどういった意味を持つのかが、また興味深いところなんです。

種の多様性がなければ、島もできない

サンゴ礁がどうやってできるのかというと、いろいろな種類のサンゴの遺骸が集積してできるんです。それが結果的に100年で1mになるんですけど、どうやったら残りやすいかというと、いろいろな種類があればあるほどいいんですね。つまり種の多様性があればあるほど遺骸の集積物として残りやすい傾向がある。そしてサンゴ礁という地形ができることが、生物多様性を維持するための住処に寄与することになって、未来につながっていくんです。

西村つまり同じようなサンゴばかりじゃなく、いろいろなサンゴがある方が島化しやすいということですか?

渡邊さんそのとおりですね。結局、ほかの堆積物も含めて、いろいろな形のいろいろなものが生きていたほうが捕捉しやすいんですよ。

西村さっきからこればっかり言っているんですけど、そういうまちをつくりたいんですけど(笑)。

置かれている環境の構成要因が変われば、自分の役割も変わっていく

ニセコの風景。ニセコで暮らしたら、仕事の合間に釣りをしていたのが、釣りの合間に仕事をするようになった、と笑う土谷さん

土谷さん僕はやっぱりスケールって大事だなと思っててね。で、永遠に実験の繰り返しなんですよ。でもそれが、スケールがあんまり大きいとわからなくなっちゃうし、人ごとになるんですよね。

さっき堂目先生が助け合うって言ってましたけど、ニセコみたいに5,000人ぐらいの規模だと、たとえばそのうち100人ぐらいのことは知っていますよね。それだと、20ぐらいサークルするとだいたい全員がつながっていることになります。こういう規模の社会では、助け合うことがちゃんとリアリティを持っているんですよね。

弱いものを助けるほうがより自由である。強いものになろうとするとかえって不自由になっていく。そうであるなら、そのプロセスにおいてスケールダウンしてみるというのは、トレーニングとしてうまくいくんじゃないかと思います。それにはやっぱり、舞台の設定がすごく重要なんじゃないかなと。

福本さん弱いとか強いとか、助けられるとか助けられないって、やっぱり文脈が変わるごとに変化していくものだから、環境の変化にトライアルできることがすごく大事だなと思います。置かれている環境の構成要因が変わっていけばいくほど、自分の役割も変わっていくので、そういう循環は、学びの中にも必要だなと思っています。

「助けられる人」が「助ける人」を助けている

グルグルと循環する社会の実態に合わせた考え方をつくっていく

西村僕は、堂目先生が見せてくださったグルグル回る絵が、社会の実態だと思っていて。つまり、実際に社会はそういうふうに動いているんだけど、僕らがそこにどういう経済や考え方を持ち込めるのかっていう話なんだなと。だから、社会の有り様が変わったというよりも、もともと社会はそういうもので、固定化して捉えようとしてみたけどうまくいかなかったから、もうちょっと社会の有り様に合わせた考え方をつくっていかないといけないということなのかなと思いました。

堂目さんそのとおりだと思います。突然話したのに、みなさんすごくいいコメントをくださってありがとうございます。一点だけ付け加えたいのは、確かに助ける、助けられるは循環するんですけど「助ける人が助けられる人を助けている」だけじゃなく「助けられる人が助ける人を助けている」という側面もあるということです。それは関係が固定化されている場合も、そうなんですね。もちろん助けている人は大変だと思います。でも、単に世話をするという意味での助けるだけじゃなく、自分の中を振り返っていく中で助けられるっていうこともあるんです。それがさっき言った逆転の発想なんですけど、そういうところに還っていくべきときを迎えているんじゃないかなと思います。

それともうひとつ「これからは共感資本主義だ」と言うと「共感できるのは顔が見える範囲でしょ」ってよく言われるんです。それは本当にそのとおりで、なかなかその枠は超えられません。でもネットワークが開いていけば、結果として全体を覆うことができるんじゃないかと思っています。

今、私たち人類は「コロナで人類が危機にある」と考えることができるんですね。地球の裏側の人々までは心配できないかもしれないけど、少なくとも地球全体を考えることができている。これは非常に大きな進歩だと思います。絵空事や理想だと言われても、人類が国連や世界人権宣言をつくって地球全体を考えるようになったという、この事実をどれくらい重く受け止め、希望を捨てず、顔の見えないところまで考えて踏み出していけるのかは、人類の大きなチャレンジのひとつではないかなと思います。

人間はほかの生物にはない「想像力」という軸を持っている

西村地球全体を考えるという点において、サンゴは生物としてすごく面白いんだけど、人間は想像力というもうひとつの面白い軸を持っているんですよね。だから時間や空間を超えたネットワークを形成することができるんだろうなと。

たとえば今、目の前のパソコンの画面にみなさんの顔が映っているんですけど、僕はそれを想像力で補っているわけですね。「あの人は本当にいる」ということを信じている。「あれは堂目先生だ」ということを一応信じながら話を聞き「今聞こえている声は堂目先生の声だ」と想像力で補って理解している。

だけどそれって、怪しいと言えば怪しいですよね。「本当に堂目先生なんですか?」って問われるとよくわからない。それを補正する力が人間の面白いところで、生物としての人間の本当の可能性がそこから見えてくるのかなと思いました。時間になってしまったので、最後に何かあればコメントをいただければと思います。

堂目さん短い時間でしたけれども、こういう場でお話することができて良かったです。経済活動は、まさしくいのちを扱うものとして出発して、そのための手段をどうやって調達して生産するかという人類が始まって以来の苦しい営みです。でも、いつの間にか手段と目的が逆転してしまって、何のための財とサービスなのかがわからなくなって、新たな苦しみを生んでしまっているように思います。

これをリヴォルブ(回転)させる。本来の目的と手段の関係に戻して、しかもグローバルなレベルで考えていく。今は、そういう時期にあると思います。大阪大学でもそういう組織をつくり、西村さんも一緒にやっていこうと一歩を踏み出したところです。

福本さん今日は貴重な機会をいただき、ありがとうございました。私は普段、子どもたちの学びの場をつくっていますが、ひとりひとりがいのちを輝かせていくためには、自分に何ができるのかを試せる場がたくさん必要だなと思っています。それは子どもだけじゃなく、大人もです。だからコロナの影響で、これまでとは違う日常を送ることを余儀なくされていることは、環境を変えざるえなかったという意味でチャレンジの場になっているんじゃないかなと思います。

渡邊先生のサンゴの話も、土谷先生のまちづくりの話も、堂目先生の経済の話も、共通することは、結局ひとつひとつのパーツがどうしたらうまく回っていくのかを考えつつ、常に変化を楽しみ、置かれた環境の中でどう力をつけていくことなのかなと思いました。

渡邊さんサンゴ礁を通じていろいろな分野の研究者や子どもたちが集まっている中で、僕らも今、文理融合のプログラムを始めたいということで動いています。100年後をターゲットにしているんですが、最終的に経済がどうリンクするのか、するべきなのかが本当にわからなかったので、今日は非常に勉強になりました。

じつは我々の中でも、何が生き残って何が滅んだのかという話はよく出るんですが、見方を変えると全然違うこともわかってきます。たとえば弱者のほうが、弱いことによって進化して環境に耐えうるようになって、時間的には長く生き残ることもあるんです。つまり弱者だったがゆえに勝者になった。そういうことも、これまでの歴史では普通にあるんですね。逆に強者だと、その時は一強になるんですけれども、環境に適応しすぎたことで特殊化して滅ぶという法則があったりします。

西村さんが、人とサンゴの違いは想像力があることだと言っていました。サンゴが自然にやってきたことを人間がどういうふうに見て、それを上回る経済をつくり、激動する環境をどう乗り超えていくのかということは、サンゴ側として注目していきたいなと思います。まあ僕も人間ですけど(笑)。でもそんな思いで、今日はサンゴ側の気持ちになってみなさんのお話を興味深く聞かせてもらいました。ありがとうございました。

この記事は、ミラツクが運営するメンバーシップ「ROOM」によって取材・制作されています。http://room.emerging-future.org/

フォーラムシリーズでは、ミラツク年次フォーラムでの各セッションの様子を記事として制作・公開しています。2020年度のフォーラムは、全部で8つのセッションが行われました。

次回は、エールの篠田さん、フォーブスジャパンの谷本さん、資生堂R&D戦略部の中西さん、風と土の阿部さんの4名と共に 「今問われるリーダーシップとは」をテーマに掘り下げた75分をお届けします。お楽しみに!

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NPO法人ミラツク では、2016~2019の4年間でミラツク年次フォーラムにおいて行われた33のセッションの記事を分析し、783要素、小項目441、中項目172、大項目46に構造化しました。詳しくは以下のURLをご覧ください。
ミラツク年次フォーラム2016-2019まとめ:https://scrapbox.io/miratukuforum2016-2019/
平川友紀 ライター
リアリティを残し、行間を拾う、ストーリーライター・文筆家。greenz.jpシニアライター。1979年生まれ。20代前半を音楽インディーズ雑誌の編集長として過ごし、生き方や表現について多くのミュージシャンから影響を受けた。2006年、神奈川県の里山のまち、旧藤野町(相模原市緑区)に移住。その多様性のあるコミュニティにすっかり魅了され、気づけばまちづくり、暮らしなどを主なテーマに執筆中。