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「株式会社沖縄の人事部として」沖縄の次世代のリーダーを育成。人財育成プロジェクト「Ryukyufrogs」とは?[ミラツクフォーラム2017/ミラツクアワード2017]

フォーラム

2017年12月23日に開催された毎年恒例の「ミラツク年次フォーラム」。一般公開はせず、1年間、ミラツクと関わっていただいたり、ご縁のあった方々に感謝を込めてお集まりいただく会です。

ランチセッションでは「ミラツクアワード2017」を受賞した株式会社レキサス代表取締役・比屋根隆さんに「ミラツクアワード2017記念講演」としてご登壇いただきました。

「ミラツクアワード」は、ミラツク・代表の西村が「ぜひ知ってもらいたい人と取り組み」を1社選んで贈っている賞として2016年からスタートしました。2017年は、比屋根さんに加え、レキサスの人財育成部門が2017年9月に独立し、人財育成プロジェクト「Ryukyufrogs」の運営を引き継いだ株式会社FROGSの代表取締役・山崎暁さんもお話に加わり、人財育成事業についてお話していただきました。

「2016年度ミラツクアワード」株式会社シルバーウッド 代表取締役 下河原忠道さん
http://emerging-future.org/newblog/20170522_miratukuforum2016/

(フォーラム撮影:Rie Nitta、写真提供:株式会社FROGS)

登壇者プロフィール
比屋根隆さん
株式会社レキサス 代表取締役社長
沖縄国際大学商経学部卒。大学在学中にITの可能性を感じ、学生ポータルサイト開発、企業向けの独自サービスを提供するIT企業を従兄弟とともに設立。1998年、独立して株式会社レキサスを設立。Web/クラウドサービス/スマートフォン向けアプリケーションの企画・開発・販売事業および投資・インキュベーション事業などを手がける。また「人材育成を通して沖縄県経済の自立と発展を目指す」という大きな理念のもと、沖縄県内の人材育成に取り組む。2008年より、沖縄の次世代リーダーを発掘し育成するために、人財育成プロジェクト「IT frogs(現Ryukyufrogs)」をスタート。沖縄県内の学生を対象に、起業家精神の形成、及びグローバル視点研修や各種技術研修への参加、IT産業の世界的中心地・シリコンバレーへの派遣などを実施。2017年9月に人財育成事業部門が独立、株式会社FROGSとなる。
山崎暁さん
株式会社FROGS 代表取締役 / CEO
東京都葛飾区出身。沖縄移住を検討していた際、レキサス代表取締役の比屋根氏と出会い、会ったその日に移住を決意。株式会社レキサス執行役員として人事のほか、STEAM教育を楽しみながら学べるレゴエデュケーション社公認「レゴ®︎スクール」事業の運営や人財育成プロジェクト「Ryukyufrogs」のGeneral Organizerなどの役割を担う。2017年9月、レキサスの人財事業部門を独立起業する形で株式会社FROGSを設立。「Ryukyufrogs」や「FROGS Academy」、「レゴ®️スクール」の運営、沖縄国際大学「ハイブリッド人財育成講義」非常勤講師など、人財育成事業、および教育・研修事業などを手がけている。

キーワードは「地域連携」「人材育成」「教育」「未来づくり」

島村ミラツクの島村と申します。ミラツクアワードは去年から設定させていただいた賞ですが、去年も今年も、すばらしいことを取り組んでおられる方が選ばれているなと感じています。実は私も今日、比屋根さんとは初めてお会いしました。西村からは「マジですごい人が沖縄にいるんだよ」と聞いておりますので、どんな方なのか、私も皆さんと一緒にピュアな気持ちでお話を伺えればと思います。ではよろしくお願いいたします。

比屋根さんご紹介ありがとうございます。今日は人財育成プロジェクト「Ryukyufrogs」のお話をメインに共有したいと思います。キーワードは「地域連携」「人材育成」「教育」「未来づくり」です。

「株式会社レキサス」は1998年に創業したIT企業です。ITといっても、受託型ではないIT企業を沖縄につくろうと始まった、ITを軸にものづくりをしている会社です。

さきほどのセッションで、僕が沖縄県知事だったらどういうことをやるかという話をしたんですけど、やはりテクノロジーですね。これからは技術っていうのがすごく大切なテーマで、沖縄にいても世界レベルの技術力がある、あるいは世界の技術と繋がっているという状況を作りたかったので、テクノロジーで起業したところがあります。

沖縄のIT業界はどうしても受託開発っていうイメージがあるんです。でも僕らは「ハロペ」というペット業界向けに特化したクラブサービスを全国展開したり、ウエディング業界では「フォトブリッジ」というプロダクトをやらせてもらっています。こちらは業界でのシェアが10%となり、3年以内に30%まで出せるのではないかというぐらいになっていて、しっかりものづくりができるようになってきました。

子どもは環境次第でこんなにも変わる

比屋根さん今日の本題は「人財育成」なんですが、僕の根本にあるのは世界を良くしたいということなんですね。沖縄にある資産を活用して、いかに世界に貢献できるのかに取り組んでいきたいという想いがあります。そのためには、そういう価値観や思想を持った人財を育てることや事業を生み出していくことが不可欠ですよね。

「株式会社沖縄県の人事部として」ということを会社のサブタイトルにしていますが、長期的には人づくり、短期的にはU・Iターンをいかに増やすかという施策に取り組んでいます。その中で、沖縄の未来を考えたときに、若いうちにいかに子どもの可能性を引っ張り出すかが大切なのではないかと考えるようになり、じゃあそういうプラットフォームが必要だろうということで「Ryukyufrogs」を始めました。

「Ryukyufrogs」は、約10名を選抜して実施する6ヶ月間の人財育成プロジェクトです。選抜する学生は中学生から大学生まで。1期目は7社から協賛を得てスタートしたんですが、補助金に頼らずに利益の一部を未来に投資しようという価値観が少しずつ広がってきて、今は多種多様な企業が参加してくださっています。

特にユニークなのが、沖縄県内のすべての銀行が入っているところですね。地域の未来をつくるんだから、競合がどうとか、そういうことはなしにしましょうと。メディアもそうです。沖縄だと競合してるところもあるんですが、そういう価値観を超えてやりましょうと。ほかにも、志に共鳴していただいて、県外、海外からもサポーターとしていろいろな方に支援していただいています。

2016年は離島・石垣島からも中学生2名を選抜しています。あと小学生からも応募が来るようになりましたね。ただ、さすがに6ヶ月間、かつシリコンバレーに行くっていうのはコミュニケーション的にむずかしいということで、今は小学生向けに、プログラミングを無償で6ヶ月間教えています。その子たちも最後に開催する成果発表会「LEAP DAY」でプレゼンテーションをしてもらっています。

我々の狙いとしては、小学生のときに「ものづくりって面白い」「人前で伝えるってすごく面白い」って思った子が、中学生になったら「Ryukyufrogs」に応募してくれるような、そういう仕組みにしていきたいです。

「Ryukyufrogs」をやってきて思うのは、子どもは環境次第でわずか6ヶ月でこんなにも変わるんだということです。社会の仕組み、大人の触れ合い方によって日本の未来が変わるんじゃないかなというくらい、子どもたちの変化を通してそう感じています。

LEAPDAY2017ムービー

また、人財育成っていうのは、10年20年30年と継続していくものですし、プログラムは時代に合わせて変えていきたいと思っています。そういう理由で「Ryukyufrogs」は補助金を使わずにやっています。補助金を使うと、どうしても2年や3年っていう時限措置になってしまいますし、中身に関するいろいろな制約が出てきます。

僕らは、民間と行政にはそれぞれ役割があると思っています。民間がやるのはトップの人材をいかに引き伸ばしていくかっていうこと。逆に行政がやったほうがいいと思うのは、雇用改善をどうするかっていうことですね。そういう意味では、民間の役割って重要なんじゃないかっていうふうに思っています。

ちなみに「Ryukyufrogs」は僕の想いや構想でスタートしたんですが、この9年間、現場で子どもたちと向き合ってプログラムをつくりあげてきたのは、山崎なんですね。ですから今日は、僕がミラツクアワードをいただいたんですが、彼にも話をしてもらいたいと思っているんです。

山崎は東京都葛飾区出身です。あれは10年ぐらい前でしたかね。プライベートでダイビングにきているときに、沖縄に移住できないかとたまたま業者を介して会ったんですね。その日の夜、飲みながら話したのは、沖縄をとにかく変えたい、人から変えたい、ということでした。沖縄の人事部をつくりたいので、人事部長をやってくださいと。それからずっと「Ryukyufrogs」に関わってきた、教育に対する並々ならぬ愛がある人です。

やるかやらないか、人生はシンプルにその2つ。

山崎さん山崎です。よろしくお願いします。まず、「Ryukyufrogs」に選抜された学生には、自分が人生をかけて解決したい社会課題をひとつ見つけてもらっています。そして「×テクノロジー」で何か新しいイノベーションを起こせないかを半年間やり続けてもらいます。そうするとどういうことが起きるかというと、思考と言動の癖付けができてくるんです。

起業家が何人か誕生しているし、もともとIT企業なのでそこを目指しているように思われるんですけど、このプログラム自体は終わったあとに普通に就職してもいいし、農家でも医者でも政治家でもどの分野にいってもらってもいいんです。ただ、これだけはって伝えていることが「世の中の流れに流されない」ということです。自分がこれが正しいと思ったら、全員反対していたとしても、たとえオセロの盤面が真っ黒だったとしても、それをちょっとずつでも白くしていくような人を育てたいと思っています。

そのために、シンプルな行動規範みたいなものをつくっています。たとえば、とにかく行動しましょう。あるいは、自分で抱え込まずに常に俯瞰して、周りを巻き込んでいきましょうっていうこと。これは大人にも当てはまるんですけど、できない理由やいいわけをつくって思考を止めるんじゃなくて、どうできるかだけを考え続ける癖をつけること。ちっちゃい失敗をどんどんしようよっていうこともよく言っています。失敗は恥ずかしくない、価値があるんだよっていうことですね。

あとは、評論家っぽくなるなということも言っています。いろいろ言うけど結局何もやってないじゃんっていうのがいちばんダサいよね、と。「Ryukyufrogs」のキャッチコピーが「やるかやらないか、人生はシンプルにその2つ。」なんです。愚痴るだけで何もやらない側にまわるのか、それとも自分がちょっとでもできるところを見つけて、変えていく側にまわるかで人生が変わるよねって話をしています。

プログラム修了後の子どもたちの今

山崎さんところで、このプログラム実際どうなの? っていうのは気になりますよね。参加者はもう70名以上いるので全部は紹介できないんですけど、参考までに数名だけ紹介しますね。Aくんは、沖縄を飛び出てリクルートにヘッドハンティングされました。それを3年半で辞めて、今はIT企業を立ち上げて、東京で頑張っています。

Bさんは中3のときにエントリーしたんですけど、高1で会社を起こしました。その会社をこの間休眠状態で閉じました。今は難関大学目指して頑張っていますね。

Cくんは、実はお医者さんの家系だったんです。でもこのプログラムに参加して、医者にならない宣言をしちゃったんです。大問題になりました(笑)。

(会場内笑)

山崎さんシリコンバレーに行って、会う人会う人を見て、やっぱり好きなことで生きていきたいって思ったんですよね。そのかわり、やるならトップを目指そうっていうことで、この間、東大工学部の初の推薦枠に入りました。

沖縄では今、経済的な貧困、家庭の格差みたいなことがすごく問題になっているんです。Dくんは、高校1年生で3つのアルバイトを掛け持ちしていました。だから学校ではずっと寝ています。でもそんな彼が「Ryukyufrogs」に参加したことによって、自分が本気になれば世の中を変えられるかもと思うようになり、家とかそういうレベルの話じゃないっていうことになって、高校を休学しました。これもすごい問題になったんです(笑)。その後、留学して戻ってきて、ついこの間長崎大学の工学部に合格しました。夢の目線はもう外に向いているという状態です。

いろいろと成果は上がっているんですが、実はこれ、協賛だけでは赤字の状況です。いつまでも人のお金に頼ってやっていくわけにもいかないし、継続ができないということもあって、ちゃんと事業として独立させて、関わる方々にもちゃんとお礼ができるようにしていこうと「株式会社FROGS」を起業しました。

ご存知の方も多いと思うんですけど、今、世の中は大きな変革期にきています。学習指導要領が大幅に変わることをご存知の方ってどのくらいいらっしゃいます? …そうですよね。みなさん知ってますよね(笑)。

これから教育は、アウトプット型に大きく変わります。プログラミングも義務化されるということで、シンギュラリティみたいな時代が来たときに、その技術を正しい力と正しいマインドで使える人が増えていかなければいけません。そういった人財を育てていかなきゃいけないということで、子どもたちをメインにやってきたんですけれども、今後は大人とか学校とか地方行政とか、そういった方々にも提案して事業として展開していくことも考えています。具体的には、昔は寺小屋とかいろいろな私塾があったと思うんですけど、そういったものを学外につくっていこうと思っています。

比屋根さん毎年、いかにいろんな人を巻き込むかっていうことを考えて工夫してきました。そのひとつの形はできたと思うので、それを今後は「株式会社FROGS」として実装させて、より多くのインパクトを出していってもらいたいと思っています。

じゃあ私自身がこれからの10年に何をしたいかというと、2018年、沖縄で県民ファンドを立ち上げていきたいと考えています。こういう事業をやりたいんだ、これはこういう社会的なインパクトがあるんだとピッチしている起業家に、県民が投資ができるモデルをつくることで、私たちも未来を作っているんだっていう状況を生み出したいんです。

未来に投資する基金(ファンド)があることで、人の気持ちと未来への期待とがライブでつながるコミュニティをちゃんとデザインできる。10年かけてその仕組みを回していきたいと思っています。頑張ります。

選抜基準は「人間性」と「伸びしろがあるかどうか」

島村ありがとうございました。質問されたい方、いらっしゃいますか?

質問者1子どもたちの選抜の基準を教えていただきたいです。

山崎さん行動とか思考って再現性があるので、最初の頃は、過去にどういうことやっていたかっていうところを見ていました。

今は「Ryukyufrogs」自体が、アンテナの立ってる沖縄の学生はみんな知っているという状況になっています。無料でシリコンバレーに連れて行ってもらえるので、要領のいい子も結構くるんですよ。それを見抜かなきゃいけないので、実は最終選考会は、一泊二日の泊まり込みでやっています。そうすると、人間性ってどうしても隠せないんですね。やっぱりいちばんは人間性です。それと本当にこの子は変わるかどうかっていう伸びしろを、その一泊二日で見抜くっていう感じです。

比屋根さん一泊二日の間に、その子が合宿期間中周りからどう思われているかとか、あなたの長所はこうで、ここはこうしたほうがいいっていうのを、子ども同士でフィードバックしあうんですね。そのシートをもらうと、面接だけでは見抜けない本質が見えてきます。それも参考にしながら最後にプレゼンテーションしてもらって決めるっていう形になっています。

質問者2途中でドロップアウトする子どもはどれくらいいますか? もしくはドロップアウトしそうなとき、どんなふうにフォローされているんでしょうか?

山崎さん正直に言いますと、「Ryukyufrogs」では「不公平をもっとも公平に」しています。それを子どもたちにも最初に言います。日本ってオーストラリアに次いでメンタル系の薬の処方量が世界で2位っていうぐらい、子どものときと社会に出たときとのギャップ感がすごいんですよね。

フロッグス生には、社会出てリーダーになってもらいたいので、原因と結果は自分に返ってくるよというところをちゃんと話しています。教えるというよりも、とにかく失敗してもらって、結果として気付かせる。そうすると、意識が高くてプライドも高い子も多いので、鼻を折られるケースがどんどん出てきます。そこでプライドが保たない子は、毎年とは言わないですけど、1名くらいはドロップアウトします。

ただ、私は切り捨てるっていう人事学は持っていません。今、「不公平を公平に」と言ったんですけど、救う、拾う、育てるっていうところも同じぐらい大事な部分だと思ってるので、最後は膝を突き合わせてとことん話します。でも必要以上に追いかけることもしませんね。

比屋根さんごくたまにですけど、僕のFacebookにお父さんやお母さんからメッセージがくることがあります。「子どもが悩んでるんですけどどうしたらいいんでしょう」みたいな(笑)。やっぱり親も心配なんですよね。でもそこは、親が手を差し伸べると守っちゃうことになるので、大きな愛情で見守ってほしいですっていう話をします。やるかやらないか、そこをどう乗り越えるかが実はすごく子どもにとって財産になります。僕と山崎は、そういう形で役割分担をしていますね。

沖縄の未来をよくするために、どんどん外に飛び出してもらう

質問者3「Ryukyufrogs」は選抜になっていますが、決められた教育概念の中でこぼれてしまう選抜じゃない子たちをどうしていくのか? 公教育が担う部分と民間教育で担う部分があるというお話がありましたが、その先をどう考えられているのかを参考に聞かせていただきたいです。それともうひとつ、「株式会社FROGS」が今後、どういった事業をされていくのかに興味がありまして、お聞かせいただければと思います。

山崎さんとにかく地域を底上げしていく草の根活動はずっとやっていて、中学校でも高校でもワークショップなどの要請があれば、すぐに行くようにしています。

ただ、ふたつめの質問に通じるんですけど、「株式会社FROGS」では「FROGS Academy」という、学外のスクールを作ろうと思っています。ビギナーとかミドルとかアッパーっていうクラスをつくって、年齢でも学年でもなく、意識や言動、過去の状況を見てどのクラスに入るかを決めてもらいます。まずはビギナーとして意識をあげていくとか、ミドルの人にはミドルにあった内容をっていうふうにプログラムを提供していきたいなと思っています。

質問者3そのスクールは有料になるんですか? 受益者負担でやるっていうこと?

山崎さんそうですね。「Ryukyufrogs」は今までいっさい、選抜者にお金をもらってないんですね。それはやっぱり沖縄って経済格差があって、家庭の事情ですべてのチャンスを奪われてしまう子がいるからなんです。そういう子をなくしたいということもあってやってきているんですけど、「株式会社FROGS」としては利益も出していかなきゃいけないので、スクール事業にはなってしまいます。

ただ、ここでもあしながおじさんみたいな人を見つけようとは思っています。たとえばビギナークラスに2名あしながおじさんがふたりいて、そのふたりが子どもふたりを育てる、みたいな制度を地域でつくっていけたらなっていうのは今考えているところです。

比屋根さん僕は、まずは民間でやるべきでしょっていうことでやってきて、その形はできてきたと思っています。だからこれからはそこにチャレンジする可能性のある数を増やしていきたいです。そう考えると、これからはやっぱり行政との連携なんですね。

つまりボトルの部分で、補助金を使って無料で受けられるようなものができるなら、補助金を使ってやったほうがいいと思います。そこからたくさん芽が出てきたものを、今度は民間が選抜してやっていくっていう仕組みがつくれないかなと。

それと、「株式会社FROGS」の投資にはなると思うんですけど、学校の中に入ってクリエイティブなクラスをつくっていくとか、大学だけじゃなく高校とか中学でもできる寄付講座を学校側と連携してやっていくことも試行錯誤したいですね。やりながら常に修正していくと、やっぱり10年くらいはかかると思うんですが、そこはトライアンドエラーでやっていきたいです。

山崎さん事業の話の続きですが、じつはこの間の「LEAP DAY」にも他県の方が何名も見にきてくださいました。「Ryukyufrogs」をうちの地域でもやりたいっていうニーズが、じつは2年ぐらい前から結構あります。それを委嘱して、ライセンスという形で各地に落としていくことも考えています。フロッグスアカデミーもフランチャイズ化して、いろいろなところで提供できるようにしていきたいですし、細かい研修などもすべてマネタイズしていきたいなと思います。

質問者4私は会社で、小学生から中学生までの子どもたちに、自然から学ぶというコンセプトで農作業を共同体験して半年間かけていろんな気づきを得てもらうというプログラムをやっています。そこから卒業した子どもたちのOB活動なんかも続けているんですが、それが事業にどう関係があるんだ、そういう子たちが何人うちの会社に入ってくるんだみたいなことを経営層から問われてしまうんですね。

社会課題をビジネスにするという社会的な流れの中で、もともとそうじゃないミッション、ビジョンでやっていたことまで天秤にかけられてしまう現状があります。地域の未来をっていう話でいうと、沖縄県外の大学に行ったり起業されたりしている卒業生もいるようですが、そこはどういうふうに捉えてらっしゃるんでしょうか?

山崎さん僕も始めた頃は同じことを言われました。やってる意味あるの? みんな出ていっちゃうじゃん、と。そうしたら、それはそうですよねって言います。おそらく総論は理解しているけど、各論になると腹落ちしないってやつですよね。そういうときは、変わるのはどっちですかっていう話をしています。

要は、先進的なことをやろうとかアグレッシブに社風を変えたいとか、いろいろな意見を出してどんどんイノベーションしていこうっていう、グーグルみたいな会社が沖縄にあったらその子たちは就職すると思うんですよ。でも、ないんです。だから私たちがつくりましょうっていう話をしていきます。それにあんまり大人の事情を押し付けちゃうと、子どもも来なくなっちゃうんですよね。

比屋根さん僕らは6ヶ月一緒にいて、沖縄の未来をよくしたいよねっていうことは、子どもたちにもとにかく伝えています。僕は、その子たちが可能性を伸ばし、力をつけるために一旦外に出てもいいと思っているんですね。それはやっぱり、沖縄にいても得られない体験をしてほしいから。県外、海外にどんどん飛び出していって、そこでたくさんの経験とネットワークをつくってほしい。

僕らの想いが伝わっていれば外に出ても戻ってくると思うし、あるいは外から沖縄をサポートする人材にだってなってくれると思います。

島村比屋根さん、山崎さん、今日はありがとうございました。

平川友紀 ライター
リアリティを残し、行間を拾う、ストーリーライター・文筆家。greenz.jpシニアライター。1979年生まれ。20代前半を音楽インディーズ雑誌の編集長として過ごし、生き方や表現について多くのミュージシャンから影響を受けた。2006年、神奈川県の里山のまち、旧藤野町(相模原市緑区)に移住。その多様性のあるコミュニティにすっかり魅了され、気づけばまちづくり、暮らし、教育などを主なテーマに執筆中。
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